前立腺疾患
[1] 前立腺肥大症について
男性が年齢を重ねるとホルモンのバランスが崩れ、前立腺が肥大してきます。前立腺とは膀胱の出口に尿道を取り巻くようにあるクルミ大の臓器で、精液の一部を分泌しています。これが肥大することによって、尿が出にくくなり、残尿が出てきます。この残尿が刺激になり、夜間、おしっこに何回も起きる原因となります。進行すると排尿困難や尿漏れ、さらには尿閉と言って尿が全く出ない状態になります。軽度の肥大症ならお薬を飲むことにより症状は軽快しますが、重症だと手術が必要になります。ときには前立腺癌の場合(下記参照)もありますので、この様な症状がある場合は、お近くの泌尿器科へ一度、受診することをお勧めします。
[2] 前立腺癌について
前立腺癌は男性特有のもので、非常に増加傾向にあります。おしっこがでにくくなったり、残尿感があったり、といわゆる前立腺肥大症の症状を示すものが多いのですが中には無症状のものもあります。ほとんどが60歳以上で発症しますが、たまに40~50歳台で発症することもあります。早期に発見すると手術で治癒する可能性がありますが、手遅れになると骨転移を起こし予後不良となります。現在は血液検査で前立腺の腫瘍マーカー(PSA)を調べることにより(スクリーニング検査)、早期に診断がつくことが多くなってきました(確定診断には前立腺生検と言う組織診断が必要です)、心配な方は一度、お近くの医療機関を受診し、ご相談して測定してください。
[3] 慢性前立腺炎について
前立腺肥大症に比べ、慢性前立腺炎はあまり知られておりません。慢性前立腺炎は、夜に尿の回数が多くなったり、排尿時間が長くなったり、残尿感がするなどの肥大症の症状が、比較的若い方、30歳代や40歳くらいで出現します。何かおかしいなと思っていても恥ずかしい症状ですので放置している方が多いようです。無治療で経過すると排尿痛や下腹部痛が出現したり、精液に血が混じったり(血精液症)、子供ができにくくなったり(男性不妊症)、睾丸が腫れたり(副睾丸炎)してしまいます。検尿と触診、超音波検査などで診断可能ですし、抗生剤の内服や漢方薬による治療で改善します。
重症化してからでは治療に時間がかかりますし、再発を繰り返したりします。思い当たる方はお早めに専門医に受診するようお勧めします。