尿道炎
尿道炎とその治療の概要
排尿痛と尿道からの排膿を主訴とする尿道炎。
大きく分けると
- ①淋菌性尿道炎
- ②クラミジア尿道炎
- ③非淋菌非クラミジア尿道炎
となります。
どの尿道炎も抗生物質で治ります。しかしながら、最近、淋菌は耐性菌が多く、これまで代表的な抗生物質が効かない場合が多くみられます。この場合、点滴治療が有効です。
また、夏は意外に③非淋菌非クラミジア尿道炎が多く、大腸菌や溶連菌が原因で尿道炎を発症します。性交渉がなくても排尿痛があったりしたら、これが原因かもしません。自分は性交渉がないから大丈夫だと思い、放置しておくと腎盂腎炎や前立腺炎、副睾丸炎など大変な感染症に発展することがあるので、ご注意ください。
梅毒増加中
一時は、ほとんど診ることのなかった梅毒が3年くらい前から急増しています。梅毒に罹患すると、陰部や口腔内の潰瘍(硬性下疳)や身体の痒みのない湿疹(バラ疹)、鼠経部のリンパ節の腫れなどでの症状がでます。放置すると症状が軽快するため、受診の時期が遅れることもあります。そうすると潜伏期間に入り、罹患後3年以上で、3期、4期に移行してしまいます。そうなってしまうと治癒はなかなか困難になり、致命的な結果になりかねません。
早期であれば、ペニシリンが有効で、検査結果にもよりますが、だいたい6週間から8週間の内服でよくなります。
性交渉のあと3~5週間くらいに、陰部のできものや発疹ができた場合はなるべく早く、泌尿器科や皮膚科に受診してください。
菌交代現象をおこした膀胱炎
寒くなって、急性膀胱炎をおこす方が増加しています。急性膀胱炎は、本来、抗生物質を3~5日内服すれば治癒します。しかしながら、すっきりしないとか、頻尿気味なので、もっと抗生物質を出してほしいと来院される方が、たくさんいらっしゃいます。
尿検査の結果でも治癒しているとお話しても、分かっていただけず、押し問答になることもあります。なにも意地悪で処方しないのではありません。
抗生物質を内服し続けると、菌交代現象※が起こり、難治性の膀胱炎になってしまうかもしれないのです。
難治性になると、尿を培養し、菌を見つけ出し、それに効果のある抗生物質を選ばなければなりません。たいへん費用も時間もかかります。
ですから、お医者さんの言うことには、従ってくださいね。そして、そうならないためにも、まずは普段から水分を摂り、尿を我慢せず、膀胱炎にかからないようこころがけましょう。
※ 菌交代現象とは生体において正常菌叢の減少などにより通常では存在しないあるいは少数しか存在しない菌が異常に増殖を起こし、正常菌叢が乱れる現象。この結果、臨床症状を示す状態を菌交代症 と呼ぶ。例として抗菌スペクトルの広い抗生物質を使用した場合、薬剤感受性の高い正常菌が減少し、非感受性菌あるいは耐性菌が異常に増殖を果たす。
引用:ウィキペディア(Wikipedia)
尿失禁
過活動膀胱
みなさん、1日に何回、おしっこにいかれますか?
昼間8回以上、夜は1回以上(睡眠時間や年齢によっては2回以上)なら頻尿です。なかでも、排尿したくなったら、すぐに行かないと我慢できず、漏れそうになる症状(切迫感)を伴う場合は、過活動膀胱かもしれません。過活動膀胱は、40歳以上の女性では10人に1人にみられ、ひどい場合は尿を漏らしてしまう(切迫性尿失禁)ことがあります。
この病気は、年齢のせいだとあきらめられていましたが、今は抗コリン剤やβ3作動薬というお薬が出ており、当院では検尿と問診、超音波検査等で診断し、その方に合ったお薬を選択し、加療いたします。